石垣島最北端、平久保。海と牧草地に囲まれた高台に、5棟の建物がゆるやかに肩を寄せ合うように立っています。その中央に、四方を建物にかこまれた広場——中庭があります。
部屋でも、客席でもない、屋根のない場所。けれどここは、滞在中いちばん長く過ごす居場所になるかもしれません。WAAPが大切にしている「中庭は、もうひとつのリビング」という言葉の意味を、少しだけお話しします。
中庭という「もうひとつの居場所」
旅先での「居場所」は、客室の中にあると思われがちです。窓の外を眺め、ベッドに腰掛け、荷物をほどく。それも大切な時間です。
ただ、WAAPには「部屋の外にも、自分の居場所がある」と感じていただきたい場所があります。それが中庭です。チェックインの直後、夕食の前、夜更けの一服。ふらりと出てきて、なんとなく座って、なんとなく戻る。そんな自由な使い方ができる広場です。
5つの空間をつなぐ広場としての設計
WAAPの敷地には、HOTEL(客室4室)、TABLE(2階のカフェ)、NOODLE(1階の石垣肉そば)、BAR、WORKSHOPという5つの空間が点在しています。それらを物理的にも、気持ちのうえでもつないでいるのが、この中庭です。
PDFの施設紹介には、こう書かれています。「建物に囲まれた中庭は、5つの空間をつなぐ広場。食事も、おしゃべりも、ぼんやりも、ここで。」用途を一つに決めない場所、という設計の意図がそのまま言葉になっています。
5棟の配置や敷地全体の雰囲気はホテルのページからもご覧いただけます。地図を眺めていただくと、中庭が文字通り「真ん中」にあることがよく分かります。
静かな日中:本を持って、中庭のベンチへ
朝食を終えたあとの時間。読みかけの本と、もう一杯のコーヒーを持って、中庭のベンチへ。
平久保は街中から離れているため、聞こえてくるのは風の音と、遠くの鳥の声、ときどき牛のこえ。スマホを置く理由は、誰に説明しなくても自然と生まれます。光と影が石畳の上をゆっくり動いていく様子を眺めているだけで、午前中はすぐに過ぎていきます。
午後の時間をもう少し動的に過ごしたい日は、2階のカフェ「TABLE」で過ごす午後もおすすめです。中庭に面した窓辺の席から、また違う角度で広場を見下ろせます。
夕暮れ:BBQの香りがする日
中庭の表情が大きく変わるのは、夕方です。日が傾き、石壁がオレンジ色に染まる時間帯。日によっては、グリルの煙と、肉や野菜が焼ける音、誰かの笑い声が広場に広がります。
中庭は、宿泊ゲスト同士が静かにすれ違う日もあれば、にぎやかな夜になる日もあります。日々違う顔を見せるのが、この場所の良いところです。「人と人との繋がりの中で、少しずつ育つ場所」というWAAPの思想は、この夕暮れの中庭にいちばんよく現れる気がします。
夜:星空が落ちてくる時間
夜になると、中庭の役割はもう一度変わります。建物の灯りが落ち着き、見上げると、平久保の空。
人工光が極端に少ない最北端のこの場所では、晴れた夜は驚くほど星が近く感じられます。ベンチに寝そべって、しばらく見上げているだけ。それだけで、その日のいちばん良かった時間になることもあります。
中庭から見える、5つの建物
中庭の真ん中に立って、ぐるりと見回してみてください。石・漆喰・無垢材、そしてモザイクタイル。湿度に応じて少しずつ表情を変える素材たちが、5棟それぞれの個性として目に入ってきます。
新しく建てたものと、長く時間をくぐってきたものが、同じ広場のまわりに並んでいる。WAAPは「ただ過去を残すのではなく、新しい感性や出会いを重ね、次の時代へバトンタッチしていく場所」として生まれました。中庭はその思想を、立体的に体感できる場所でもあります。背景にある考え方はわたしたちのことで詳しくご紹介しています。
滞在中、何度も戻ってきたくなる場所
「観光名所を回って、ホテルにはただ寝に帰る」——そんな滞在も悪くはありません。けれどWAAPでは、中庭という「戻ってこられる場所」があることで、過ごし方そのものが少し変わります。
朝の散歩の前に。e-bikeで走った後の水分補給に。BARに行く前のひと呼吸に。一日の中で、何度も中庭を横切ることになります。そのたびに、空の色も、影の長さも、聞こえてくる音も少しずつ違う。同じ場所なのに、毎回違う。それが、もうひとつのリビングを持つということなのかもしれません。
WAAPでの滞在をもう少し具体的にイメージしたい方は、姉妹記事の島と呼吸する宿の過ごし方もあわせてどうぞ。中庭で過ごす時間を含めた一日が、もう少し近い距離で見えてくるはずです。ご宿泊のご予約・空室確認はホテルのページからお願いいたします。