夜が、こんなにも黒いとは思わなかった。 石垣島最北端・平久保で過ごす最初の夜、多くの方がそう口にされます。街灯も、コンビニの白い光もない場所では、空はただ深く、星は思っていたより近くに見えます。
WAAPは、その平久保の高台にひっそりと建つ複合滞在施設です。客室を出て敷地に立てば、頭上に広がるのは海と牧草地に囲まれた、視界をさえぎるもののない夜空。条件が整えば、肉眼で天の川の帯を見上げることができます。
このジャーナルでは、石垣島で天の川を見たい方に向けて、平久保という場所の特性と、WAAPの敷地で星空と過ごす夜の楽しみ方をご紹介します。
平久保が天の川観測の好適地である理由
天の川を肉眼で見るには、二つの条件が必要だとよく言われます。一つは空気が澄んでいること、もう一つは周囲に人工の光が少ないこと。
石垣島の最北端・平久保半島は、市街地から車で約60分。集落も点在する程度で、夜になれば道路の街灯すら数えるほどしかありません。海と山と牧草地に挟まれたこの一帯は、夜の暗さが残された数少ないエリアです。
WAAPの敷地は、その平久保のなかでも見晴らしのよい高台にあります。建物の照明は屋外を照らさない設計にしているため、敷地から数歩離れれば、視界は星空のためだけに開かれます。
天の川が見える季節と時間帯
天の川は一年中存在しますが、肉眼で「帯」として見えやすい季節は限られます。沖縄・石垣島では、おおむね 3月下旬から10月頃まで が観測しやすい時期。なかでも 5月から8月 にかけては、天の川の中心部(いて座方向)が高く昇り、もっとも濃く見える季節とされています。
時間帯は、月明かりの影響を避けるため 新月の前後一週間 がおすすめです。月が大きいと星空はやさしく霞み、それはそれで美しいのですが、天の川の濃淡をはっきり見たい方は、新月のカレンダーを目安に滞在日を選ばれるとよいでしょう。
天気はもちろん、雲の流れにも左右されます。「見えるかもしれない夜」を旅の楽しみに、肩の力を抜いてお越しください。
WAAPの敷地から見上げる星空
夕食後、お部屋の灯りを消して敷地に出てみると、最初の数分は何も見えないかもしれません。明るい場所から暗い場所に出ると、目が慣れるまで5分から10分ほどかかります。スマートフォンの画面はその間、できるだけ見ないでおくのがおすすめです。
目が暗さに馴染んでくると、星はだんだん増えてきます。北の空、南の空、頭の真上。最初は数えられた星が、いつの間にか数えきれなくなります。
夏の夜であれば、南東の空から立ち上がってくる白っぽい帯。それが、天の川です。雲のようにも見えるその一筋は、目を凝らすほどに、無数の星の集まりであることがわかります。
PDFの施設案内でも、平久保のWAAPは 「人工光のほとんどない最北端だから、敷地から肉眼で天の川が見える」 と紹介されています。それは特別な機材も、遠出も必要としない、ただ夜空を見上げるだけの時間です。
星空のあと、BARでひと休み
星空の下で過ごしたあと、すこし冷えた身体を休めに、BARへ立ち寄っていただくのもおすすめです。
WAAPのBARは、宿泊ゲストを中心とした小さな空間。声を張る場所ではなく、グラスを傾けながら、その日の景色や明日の予定をぽつりぽつりと話すための時間です。
夜風が抜ける席で、星を見たあとの余韻と一緒に、一杯。お酒が得意でない方には、ノンアルコールのお飲み物もご用意しています。
星空観察に持っていきたいもの
平久保の夜は、夏でも風が抜けて意外と涼しく感じられます。星空観察のために敷地に出るときは、薄手の上着を一枚お持ちいただくと安心です。
- 羽織りもの:半袖だけでは肌寒く感じることがあります
- 赤色ライト:白色の懐中電灯は目が暗さに慣れるのを妨げます。スマートフォンの画面を赤くするアプリも便利です
- 虫よけ:季節によっては、蚊やぶよが出ます
- レジャーシートや薄手のタオル:敷地の芝生に寝転んで見上げると、首が疲れません
懐中電灯はチェックイン時にお声がけいただければ、貸出のご案内ができます。
撮影される方へのささやかなヒント
カメラで天の川を残したい方も多くいらっしゃいます。詳細な撮影テクニックは専門の情報にゆずるとして、ここでは現地でよくお伝えしているささやかなヒントだけ。
- 三脚は、風の弱い場所を選んで設置すると安定します
- レンズは広角ほど、空の広がりを残せます
- 露光時間は短めに何枚か撮って、あとで合成する方法もあります
- ピント合わせは、明るい星か遠くの灯りを使うと合わせやすいです
ただ、撮ることに集中しすぎて、肉眼で見上げる時間を忘れないように。 カメラの液晶ではなく、自分の目で見た空の方が、後から思い出すと不思議と鮮明に残るものです。
翌朝、海辺で日の出を迎える
夜遅くまで星を眺めたあとでも、もし早起きできそうであれば、翌朝は海岸線まで足を延ばしてみてください。WAAPの滞在中は e-bike(電動アシスト自転車)を無料で貸し出し ていますので、近くのビーチまでなら、5分ほどで到着します。
夜の星空と、朝の海。最北端の二つの景色を続けて見ると、平久保の自然がひと続きであることに気づきます。
朝・夕とつなぐ滞在ストーリーは、こちらのジャーナルでもご紹介しています。 e-bikeで巡る、平久保の朝・昼・夜 →
天の川は、必ず見られるものではありません。お天気次第、月齢次第、季節次第。 それでも、平久保まで来てくださった方には、できるだけよい夜を過ごしていただきたい。 WAAPは、そのための「人生の旅の途中の宿り木」として、静かにお迎えします。
星空を目的にお越しの方も、結果として星空に出会う方も。 平久保の夜が、旅のなかの一枚の記憶になりますように。